近年のクラウドサービスの普及にともない、API連携の重要性が高まっています。しかし「そもそもAPI連携は何なのか?」と疑問を持っている方も多いでしょう。そこで本記事では、API連携の基本から具体的な活用事例、API連携の実装手順まで詳しく解説します。最後までご覧いただければAPI連携を一通り理解できますので、ぜひ参考にしてください。
API連携とは
APIとは、「アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)」の略で、プログラムやソフトウェアの間をつなぐインターフェースを指します。API連携を簡単に表すと、APIを活用してアプリケーション同士の連携を図ることです。
具体例としては、WordPressなどのCMS(コンテンツマネジメントシステム)や、SNSを使ったログイン機能などがあります。WordPressには、多くのプラグイン(拡張機能)が提供されていますが、このプラグインにAPI連携が用いられています。
また、ウェブサイトやモバイルアプリ、ソフトウェアにおいて、SNSのアカウントを利用してログインする場合にも、API連携が利用されています。このように、API連携はすでに多くの場面で使われているのです。
API連携が登場する以前は、機能を追加実装する際は都度開発しなければならず、ほかのサービスの機能の活用もできませんでした。現在では一般的なWebAPIは外部にオープンになっており、誰でも使用できます。API連携の活用により、作業効率化や業務生産性の向上につながっています。
API連携の仕組み
API連携とは、2つ以上のアプリケーションやソフトウェアを連携させ、互いの機能を共有できるようにすることです。連携は、API利用者の「リクエスト」と、API提供者の「レスポンス」によって成立します。API利用者は、API提供者が作ったルールに則ったリクエストを送ります。一方、API提供者は利用者のリクエストに応じたレスポンスによってAPI連携を実行します。
API連携の仕組みをわかりやすく例えると、ファストフード店の注文の流れのようなイメージです。ファストフード店に来店したお客さんは、料理をレジスタッフに注文します。レジスタッフはキッチンスタッフに料理を伝え、キッチンスタッフが調理し、できあがった料理はレジスタッフを通してお客さんに提供されます。このように、お客さんとキッチンスタッフの橋渡し役となるレジスタッフがAPIの役割に当てはまります。
API連携のメリット
API連携の活用には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、API連携のメリットを5つ紹介します。
システムの連携による生産性の向上
API連携を利用すれば、システムやアプリケーション同士をシームレスに切り替えられるようになり、業務の効率化や生産性向上につながります。もしAPI連携を利用せず、システム同士の連携を手動で行う場合、人的ミスのリスクが高まるほか、担当者の作業量が増えます。さらに、開発者も要望を受ける度に機能の追加実装を行わなければいけません。API連携の活用により、作業工数を減らすことができるので、企業全体の生産性向上につながります。
開発リソースの削減
API連携を利用すれば、システムや機能をゼロから構築する必要がありません。そのため、開発者のリソースをほかの業務に振り分けできます。最低限の開発リソースでシステムやアプリを開発できるため、開発コストの削減につながります。
APIはスムーズに入手可能
多くのAPIはインターネット上に公開されているため、容易に入手できます。APIを活用し、複数のアプリケーションを連携したい場合も、開発コストをかけずに機能の追加実装が可能です。企業が運営するAPIのマーケットプレイスもインターネット上に複数リリースされており、求めている機能の検索・利用がしやすい環境が整いつつあります。
提供できるサービスの拡張
API連携により、ユーザーのニーズに合わせてサービスの機能を拡張できます。とりわけ変化の流れが速い現代において、ユーザーが求めるサービスをゼロから作っていては、時間とコストがかかり、ニーズに応えるスピードも遅くなります。多様化するユーザーのニーズに対応していくためには、API連携の活用は手軽かつ最適な手法です。
API連携のデメリット
API連携はサービスの機能を手軽に拡張できますが、一方でデメリットもあります。ここでは、API連携のデメリットを解説します。API連携を活用する前に確認しておきましょう。
API提供元への高い依存度
API連携は、APIの提供元がサービスを停止した場合、サービス同士の連携ができなくなります。さらに、機能や仕様変更などもAPI提供元に委ねられるため、API提供元への依存度が大きくなります。
API提供元のサーバー障害などに影響される
APIの提供元がサーバー障害などを引き起こした場合、不具合が生じたり、連携ができなくなったりします。API提供元の影響で、自社サービスの信頼が低下するなどの悪影響を及ぼす可能性があります。
API連携には開発者の協力が必要
API連携はボタン一つで利用できるわけではなく、一定のコーディングスキルが必要です。もちろん一からシステムを開発するわけではないため、多くの開発リソースを割くわけではありませんが、API連携に知見がある開発者の協力が必要です。
API連携にはセキュリティ対策が必要
APIは外部のサービスと連携するため、セキュリティの脆弱性が指摘されています。実際に、不正アクセスによる個人情報の漏洩や、サイバー攻撃によるウイルス感染被害などが発生しています。とりわけソフトウェア開発では機能の追加・修正・アップデートが行われるため、セキュリティが脆弱になる可能性が高まります。
そのため、API連携を活用する際は、セキュリティ対策が必須です。例えば、トークンの使用、暗号化通信の使用、不正検知・監査機能の導入などが挙げられます。
API連携の活用事例
ここまでAPI連携のメリット・デメリットについて解説してきましたが、実際にはAPI連携はどのように活用されているのでしょうか。ここからはAPI連携の活用事例を紹介します。
SMSのAPI連携
会員登録時の本人確認などに使われるSMS認証でも、API連携が用いられています。SMS認証は、ユーザーの携帯電話番号あてにSMS(ショートメッセージサービス)を送ることで、本人確認をするサービスです。
近年では、SMSに対応するクラウドサービスとして「CPaaS」が注目されています。CPaaSとは、APIを活用して通信機能に接続するクラウドサービスで、SMSのほかにも、音声通話やチャットなど、幅広いサービスと連携できるのが特徴です。
SMSのAPI連携に役立つ「CPaaS」について詳しく知りたい方は、「CPaaSとは?導入メリットや活用できるサービス例、おすすめサービスを紹介!」の記事をご覧ください。
社内業務ツールのAPI連携
近年ではクラウドツールの普及により、同一企業が複数のSaaSサービスを導入しています。これらの業務ツール同士を連携すれば、各サービス間をシームレスに行き来できるようになります。
例えば、営業向けのシステムで提供されているAPIでは、システムに登録している顧客情報がリアルタイムで更新されたり、メール送付の自動化ができたりします。また、手作業で行っていた見積書作成やデータ入力も自動化できるため、担当者の業務負担が大幅に軽減されます。
その他、バックオフィス向けのサービスのAPIでは、ZoomやSlackなどのコミュニケーションツールとの連携によって、社内外のコミュニケーションの円滑化にもつなげることができます。
SNSのAPI連携
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)でも、API連携が用いられています。例えば、SNSアカウントを利用したログイン認証や、Instagramで投稿した内容をFacebookに自動で投稿する機能にもAPI連携が利用されています。
その他、近年では楽天ペイなどのモバイル決済でもAPI連携が用いられるなど、活用範囲を広げています。SNSの機能拡張において、API連携は欠かせないものといえるでしょう。
ECサイトのAPI連携
複数のECサイトに商品を掲載したい場合にもAPI連携が有効です。商品データ(画像・価格・詳細情報・在庫情報)を一つ作成するだけで、掲載したいECサイトに一括で登録できます。これにより、ECサイトごとに在庫管理を行う必要がなく、商品管理の手間が大幅に軽減します。
また、決済処理APIを使えば、登録済みの決済サービスから個人情報を取得できるため、購入ユーザーは新たに決済情報を登録せずとも商品を購入できます。
POSレジのAPI連携
POSレジは、商品の販売情報を記録・集計するレジシステムです。POSレジでは、顧客管理システムとのAPI連携によって、会員情報の共有やデータ管理の効率化を実現します。商品情報や販売情報が自動的に更新されるので、データの入力ミス等の心配もなくなります。
API連携実装の手順
ここでは、API連携を実装する4つの手順と作業内容を解説します。
※細かな手順はサービスによって異なります。
1. API提供元のクラウドサービスに登録
API連携で実装したい機能を明確化します。例えば、「自社サービスとSMSを連携し、ショートメッセージを自動送信したい」と考えたとします。この場合は、SMS送信サービスを提供しているクラウドサービスに登録します。
登録するサービスを決める上で重要なのは「信頼性」「持続性」です。なぜなら、API連携は外部サービスの機能を利用するため、万が一提供元の都合でサービスの提供が終了してしまえば、自社サービスにも大きな影響を及ぼすためです。そのため、API連携を行う際はAPI提供元が信頼できるか、サービスがしっかり維持できそうかどうかを確認しましょう。
2. APIキーやシークレットを取得
サービスの登録が完了したら、APIキーやシークレットなどを取得します。APIキーとは、APIサービス提供事業者が発行している認証情報のことです。利用するサービスによって、使い方が異なる場合もあるので、詳細は各サービスマニュアルやヘルプサイトを確認してください。
3. ソフトウェアと連携
取得したAPIキーを利用するソフトウェアに設定します。連携が完了したらテストを行い、正常にAPI連携がされているか確認します。動作に問題がなければAPI連携は完了です。
4. プログラムを実装
API連携したプログラムをシステムに実装します。一定のプログラミング知識が必要な場合もあるため、周囲にエンジニアがいれば相談してみましょう。特に、自社のアプリケーションをどのように使いたいかによって、コーディングが変わるため、事前に相談しておくと良いでしょう。
APIを選ぶポイント
数多くあるAPIの中からどれを選べば良いか悩む方に向けて、ここではAPIを選ぶ際のポイントを解説します。自社のサービスに最適なAPIを選ぶ上で参考にしてください。
システムの連携・開発が容易か
機能は同じでも、APIによって使い勝手のよさや、連携のしやすさなどに違いがあります。そのため、自社システムと連携・開発しやすいものを選ぶことが大切です。中には具体的な連携事例を公開しているサービスもあるので、情報を事前に確認した上で、使い勝手が良いサービスを選択しましょう。
実績が多いサービスは、それだけ多くのシステムと連携しているため、汎用性が高いといえます。
サポート体制が整っているか
サポート体制やセキュリティ性が高いサービスであることも重要です。API連携は、他社システムを利用するため、セキュリティ上のトラブルがあった際には自社サービスに大きな影響を及ぼします。
万が一トラブルが生じた場合でも、迅速に対応してくれるサービスを選択すべきです。APIを検討する際は、サーバー障害やシステム障害が発生した際のサポート体制を必ず確認しましょう。
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この記事では、API連携の基本から具体的な活用事例、API連携の実装方法まで解説しました。私たちが普段から使っている多くのサービスで、すでにAPI連携が使われていることに気付いたのではないでしょうか。
完全に自社オリジナルで開発実装するのも一つの手段ではありますが、開発スケジュールや開発コストを鑑みた場合、API連携を活用した方が、スピーディかつ効率的に機能を追加できます。API連携を検討する際は、自社サービスにどのような機能を加えればユーザー満足度が向上するか、ユーザーはどのような体験を求めているかをイメージすることから始めてみてください。
また、顧客満足度を上げるAPI連携の1つとして注目されているのが「SMS送信サービス」です。携帯番号を使ったSMS(ショートメッセージサービス)の活用によって、ユーザーの利便性向上が期待できます。数あるSMS送信サービスのAPI連携でおすすめなのが「Rakuten CPaaS SMS API」です。
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